第4回:「いつでも・誰でも」立ち寄れる 生活の中のサポート拠点として
埼玉県随一のターミナル駅である大宮駅西口から徒歩3分。駅にほど近いビルの4階に精神科・心療内科を専門とする「大宮駅前 ひるまこころクリニック」はある。先生自身がデザインしたというクリニックのロゴマークのすぐ横にある入口を入ると、心地よいアロマの香りが漂う落ち着いた雰囲気の待合室が広がっている。受付には人気アニメのキャラクターのぬいぐるみがあったりとユーモアも欠かさない。本棚には子供向けの絵本からグルメ雑誌まで幅広く揃えてあり、「いつでも気兼ねなく、生活の一部のような感覚で来てほしい。」と、院長の昼間医師は語る院内がそこにある。
「気軽に」「いつでも」立ち寄れるクリニックとして工夫していること。
駅前という利便性から、通勤・通学途中の会社員や学生、買い物のついでに来院する主婦など、20代から40代と比較的患者層が若いのが特徴である。中には電車を乗り換えるついでにクリニックに立ち寄る、群馬や栃木など他県からの患者さんもいるという。「精神科や心療内科と聞くと受診に二の足を踏んでしまう人も多いので、できるだけハードルを低くするように心がけています。」そう語る昼間医師の診察室には、先生自身のコレクションであるアニメや漫画、ゲームなどのキャラクターのフィギュアが数多く並んでいる。「家に引きこもってしまう人はテレビや漫画、ゲームなどを一日中していることも多いので、こういった共通の話題から始めると段々と緊張が解けて色々話してくれることも多いんですよ。」と、昼間医師は話す。
心の病と生活習慣や食生活との関わりについて
クリニックではサプリメント、栄養相談、患者さん向けのストレッチやアロマのセミナーなど通常の診療以外にも様々な取組みをしている。「内科的な問題はないのに体の調子を崩す人、逆に生活の乱れが心の病に繋がることもあります。心と体はひとつなので、両方のバランスをとることが大切ですね。」と、昼間医師は語る。「心が乱れている。余裕がない。という方にいきなり食事指導をしても実行するのは難しいですよね。例えば忙しくてきちんと食事がとれないという人には、サプリメント等を活用して体のバランスを整えてから食事の指導を少しずつ始めるということもありますよ。」と、話す。患者さんのことをよりよく知るために、必要に応じて訪問看護での対応も行っているという。「その人が『当たり前』と思っていることが他の人にとっては全く違うことはよくあります。患者さんの日常生活での本当の姿を知って、その中の問題を一緒に修正していくようにしていますね。」
今後の展望について
そんな常に患者さんと真摯に向き合う昼間医師に今後の展望を伺った。「今、生活のリズムや社会生活とは何かを掴んでもらうための活動などを行うショートケアを上の階で始めたんです。家の外に出て、普通の生活を知ってもらう。スタッフとの会話を楽しんでもらう。そういったやりとりを通じて、社会に溶け込む力を身に着けていってもらいたいんです。『もう一つの自分の部屋』みたいなイメージで通ってもらえれば。」そうほほ笑む昼間医師に、患者さんがとても親しげに話しかける一コマがあった。あの自然な笑顔を引き出せるのも、誰よりも患者さんの気持ちを考えている昼間医師だからこそだろう。
院長 昼間洋平 医師
埼玉県出身。東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。複数の病院に勤務し、精神科の救急医療現場でも経験を積む。2015年に大宮駅前 ひるまこころクリニックを開院し、現院長。厚生労働省指定 精神保健指定医。日本精神神経学会認定 精神科専門医。